■社員インタビュー
「面接官の人間味に惹かれてパチンコ店に就職」・・・
私が入社したのは卒業直後の4月。それまではごく普通の女子大生で、パチンコは一度もやったことがありませんでした。自営業をしている父はたまに遊びで打っていたようですが、一緒に行ったことさえありません。そんな私がパチンコに興味を持ったのは、学生の就職活動をサポートするサイトで、パチンコ業界の求人情報を目にしたことがきっかけです。物を売るわけでもないし、ときには負けてお金を失うのに、毎日のように通い続ける人がいるのはなぜだろう。パチンコの魅力はどこにあるのだろう――。今思えば本当に単純な疑問ですが、当時は真剣に答えを見つけたかったのです。結果として3社のパチンコ店で就職試験を受けました。
最終的に当社に決めたのは、面接官をしていたディレクターとマネージャーの印象が良かったからです。物腰や言葉遣いも柔らかく、とても人間味のある温かい人たちだと感じました。パチンコ店というとあまり良いイメージはないかもしれませんが、実際は想像と違って普通の会社なんじゃないかと思えたのです。面接の内容も趣味とか将来の夢などの話題が中心で、緊張からガチガチになっていた私は、その気遣いに救われた思いがしました。
入社してすぐは、ホール業務からスタートしました。店内を一日中グルグル歩き回って、何かトラブルはないか気を配ったり、お客さまにカードの使い方をお教えするのが仕事です。休憩があるとはいえ、毎日6時間は歩きっぱなし。退社する頃には足が棒のようになりました。それでも次第に慣れていきましたし、体力的なことは大した問題ではありませんでした。
本当に難しいのは、自分よりもずっと年上のお客さまに対しても、必要があれば、毅然とした態度で対応しなければならないことです。大学を出たばかりの私にとって、自分の父親よりも年上の男性に面と向かって注意するのは、とても勇気のいることでした。第一、ものの言い方がわからない。お金もからんでお客さまは気が立っているし、言い方を間違えると大変なことになってしまいます。ホール係になって半年ほど経った頃――。とうとうハプニングが起こりました。私のミスで、お客さまを怒らせてしまったんです。
「上司に叱られると思ったら逆に励まされた」・・・
基本的に当店では玉を持っての移動をお断りしているのですが、手の平に乗せられるくらいの量なら許容範囲という暗黙の了解がありました。具体的に言うと、500円分くらいでしょうか。それは台選びの範囲として、店側も認めている行為だったんです。新人の私はルールの真意も理解できず、打ち手の気持ちもわかりませんでした。ただ、「台移動は禁止」という決まりを厳格に守り、強い言葉でストレートに注意してしまったんです。
お客さまにしてみれば台の調子が悪いうえに、20歳そこそこの小娘に注意されて頭に血が上ったのでしょう。しかし、その怒りようがあまりに激しくて迫力があったため、今度は私のほうが驚いてパニックを起こしてしまいました。思えば父に叱られた経験もなく、男の人が本気で怒るところを目の当たりにしたのは初めてだったのです。ショック状態の私はその迫力に圧倒され、何一つ対応できずに立ったまま、気づけば泣いていました。悪いことに、それがお客さまの怒りにさらに火をつけてしまいました。
情けない話ですが、自分ではどうしたらいいか、本当にわからなかったんです。そこに上司が飛んできて、何とかその場を収めてくれました。正直、そのときの私は「ホールに立つのは怖い」という気持ちで一杯でした。当然、トラブルに対しての責任を取らされて、上司からも叱責を受けるものと思っていました。
ところが、上司は怒るどころか、「何があっても泣いてはいけない。君が泣いたらお客さまが悪者になってしまう。解決につながる話し合いもできなくなる。注意するにしても表情や言い方ひとつで、きつくも柔らかくもなる。お客さまの立場になれば、怖い顔で一方的にまくし立てられるより、笑顔で話しかけられたほうが気分がいいだろう」――。そう言って励ましてくれたのです。俄然、やる気が出てきました。同じ失敗を繰り返さないように頑張ろうと思いました。
それからの私は笑顔でお客さまに接することを心がけました。すると不思議なことに、たとえトラブルが起こっても前のように悪いほうに転がってしまうことはなくなりました。悪化する前に丸く収まってしまうんです。ホールを回るときも軽く微笑んだりするだけで、余計なトラブルが少なくなるような気がします。一度だけですが、お客さまから「笑顔がいいね」と褒められたこともありました。
「笑顔の接客が成長の証」
近頃は本当に打たれ強くなったし、お客さまのお怒りに気後れすることもなくなりました。たまには泣きたくなるようなこともありますが、そういうときはスタッフルームに閉じこもって一人で泣きます。自分の泣き顔はホールのお客さまはもちろん、仲間のスタッフにも絶対に見せたくないですから。それから、ひとつ変化したことがあります。以前はパニックの涙でしたが、今はうまく接客できなかった自分に対する悔し涙なんです。この違いが成長の証だと思っています。
この仕事を選んで一番良かったのは、接客に対する考え方の幅が広がったことですね。お怒りのお客さまをなだめる仕事というのはなかなかありません。他ではできない経験をさせてもらっていると思っています。これが自分の成長にもつながっていますね。
また、現在の目標として後輩の育成ということを考えています。当店ではアルバイトの研修に力を入れているんですが、その研修を任せられる人を育てたい。そうやって人の上に立って管理する立場になったとき、自分が今まで経験してきたものが生きてくると感じています。後輩に自分の失敗談をそのまま話すことはあまりないですが、言葉の使い方や笑顔の大切さは、後輩にもきちんと伝えたいと考えています。

アシスタント 佐久間 裕子
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